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7th August, 2014Short Story/
Fujimaru, the New Hachiohji Head of a ward, has stationed !/藤丸新八王子区長、着任!をup
1st August, 2014
Five Years After the Battle in Shinjuku 3-4をup
4th July, 2014 サイト開設
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Five Years After the Battle in Shinjuku 2
「ほら、白雪。準備出来たか?」
いけ好かないパーティへの準備だったが、今の東京の立場から欠席はできないのでしょうが無い。
隣の扉をノックして声をかけた藤丸に答えて
「うん!」
とドアを開けて白雪が藤丸を見上げた時、彼女の視線がぴたっと彼に固定された。
「藤丸、白雪、用意出来たか?おっ!?」
今日は米軍幹部が開催する恒例のAnnual kick off party in Japan(注:年初に行われる在外米軍関係者向けの懇親会のようなもの)に日本側から出席する日だ。
そこは、向こうの習慣と高官たちの話題に合わせて隙のないようにしないと、いつ足をすくわれるか分からない、油断の出来ない外交の場所でもある。
「似合ってるな、藤丸。」
18歳になった彼が洋風の礼装に身を包んでる姿は、十分欧米の重鎮を納得させられるぐらいぴったり似合っていた。
艶のある黒髪を上げている以外は、あつらえたわけではないが濃紺のタキシードを品よくパーフェクトに着こなし、そのストレートの黒髪から、きっとどこのアジアの王子が来たんだと、ご婦人方から噂されるぐらいはいけるに違いない。
「なんだよ、ケン。」
白雪からもじっと見られて、藤丸はベージュが基調の繊細なレースをたっぷりあしらったドレスに、いつもの赤いヴェールを纏う彼女に腕を貸す。
「いや、尊くんよりも良かった。うん、うちのオヤジも黙らせられる。」
今まで中ノ下とごまかして出席していたが、さすがに3年目ともなると華やかさをオヤジからリクエストされてケン Jr.は困りきっていたのだ。
白雪ちゃんも思った通り可愛いぞ、と声を掛けるケンに、
「ケン、だからって白雪を出すのはどうなんだよ。そりゃ、こんなとこに堂々と出て来るとは思わないかもしれねぇけどよ、バレたらって思うと諸刃だぜ。」
ま、絶対守るけどよ、と身支度を整えた部屋出て、都庁舎の廊下をエントランスに向かって歩く。
そこにはキックオフ会場へ向かうための白いリムジンが待っていて、3人とも乗り込んだのを確認してから、藤丸は今日の会場がある在日米軍基地内へ、と運転手に告げた。
「さすがにあの白雪だとは俺もオヤジにさえ言ってないさ。」
二人の正面に腰掛けた軍服の礼装のケンが答える。
「天城屋をつけるのを避けたのもそのせいだからな。」
「まったく・・・あいつまた、くそ面倒な事をオレに押し付けやがって・・・」
「何か言われたのか?天城屋から。」
面白そうにケンが聞いて来る。
「あいつが白雪がらみで何か言わない事があるか?」
ーまったく、、、なーにが白雪様護衛マニュアルだ。
昨日天城屋に呼び出されて、3時間の講義と一緒に渡された500ページ以上の冊子を思い出し藤丸はうんざりする。
と、タキシードの裾を引っ張られ、藤丸は白雪が自分を見ているのに気付いた。
「藤、私と一緒、いや?」
「そ、そーゆー意味じゃない!ただ天城屋がうざいだけで、」
少し困った顔をした白雪に、あせって言い訳をしている藤丸の様子がおかしくて、ケンはくすり、と笑う。
「どっちにしても、兼通訳だったら藤丸の方が適任だ。思ったよりもずっと礼装も似合うし、ただ、地は出すなよ。」
白雪の機嫌を取ろうと、すっごくかわいくなったとか、ドレスが似合っているとか一生懸命彼女を褒める藤丸にケンは釘を刺す。
「わかってる。お上品に、米国風にだろ?」
基地が近づいて来て、大型のリムジンが何台か周りに見えて来た。
「そうだ。ああいう所はすぐに人を値踏みするからな。まあ、米国人から見たら二人とも子どもだろうから、多少無邪気にしていれば問題ないさ。」
検問を問題なく通過して、会場のある日本駐留軍総帥の建物に移動する。
「緊張するか?白雪。」
ふるふる、と藤丸をじっとみて白雪が返事をした。
「今日は最高に美人でいけよ。」
リラックスさせるように白雪の目をじっと見てから、彼女の手を取ってちょっとコミカルに振って、笑いかけた。
「白雪ちゃん、普通にしてれば大丈夫だからな。」
優しいケンの言葉に白雪はこっと笑って、藤丸頼むぞ、とケンはそれとは別に彼に声を掛ける。
「情報外交戦、開始だよな。」
「そうだな。もし何か気になる話が聞こえたら、すぐ言えよ。」
ケンの表情が若干真剣になる。
2年前の黒雪の圧政と東京実験場の閉鎖から、東京は米軍のサポートによる復興期にさしかかっていたが、未だ米国はそのPACOM (Pacific Command/米国太平洋軍) 配下の軍を東京から引き上げてはいなかった。
その裏に、人間に桁外れの能力を与えるグリムロックのオリジナルを入手しよう、という意図がある事は分かっていたが、果たしてそれをどのように使おうとしているのか、彼らがどこまで東京での実験内容と事情を把握しているのかは、東京サイドではまだはっきり掴めていない。
東京では対外交渉に当たれる経験者も人材も不足しており、米国PACOMトップとの話し合いは、この2年腹の探り合いの呈から進捗しておらず、有益な情報はケンの人脈と今回のように時節開かれる在東京米軍のイベントの出席によって、入手できる事が多かった。
それでも、直接米国の動きを牽制行動が可能な外交交渉ができる根拠になる情報には圧倒的に不足しており、この2年間何事も起こらない事を、願っているのが現在東京で行政の中心にいる、旧新宿討伐の年長メンバーと、アドミン及び近衛のトップの現状ではあるのだが・・・。
「ほら、白雪ちゃん、藤丸。着いたぞ。」
在日本駐留米軍総帥の居宅前に、リムジンが止まった。
アメリカ人の住宅にしては、小振りの作りだが、その門構えはさすがPACOMの高官のものらしく、今の東京では入手できそうにない、大理石の石柱がエントランスを囲むようにいくつも建っている。
その表玄関の側にはいくつものリムジンが既に止まっていて、中から着飾った婦人とそのパートナーの軍服の礼装に身を包んだ軍人が、次から次へと建物の中に入って行った。
一瞬、リムジンから降りた白雪が、その華やかな様子に圧倒されたのか、エスコートをする藤丸の腕をぎゅっと掴んだ。
エントランスからは建物の中の明るいシャンデリアのもの、と思われる光が漏れ出てきて、既に東京では誰の記憶にも彼方になってしまった欧米社交界の片鱗の様が伺える。
「心配すんな。お前はお花みたいに、笑ってりゃいいんだよ。」
自分を見上げる彼女の不安そうな顔に、藤丸が笑いかける。
それでも、なかなかいつもの笑い顔が現れないので、ほれほれ、と彼女の頬をつまんでぷにぷにした。
「藤ー!痛い!!」
エスコートされた手を離して、白雪がぽかぽか殴ってきたので、ははっ、いてーよ、と頬の手を離してそのグーパンチを自分に当たらないように、手で覆った。
「そろそろ中に入るぞ。」
緊張がほぐれた白雪と藤丸をK.K.は屋敷の内部へ先導する。
リムジンから降りてその建物に入った時に、藤丸も思わずその自分の周囲がいつもの自分を取り巻く環境と違って目を見張った。
東京は黒雪の圧政から2年経っただけで、その対外国向けの交流はまだ始まったばかりだ。
隕石の衝突のせいで、過去にあったキーパーソンの人脈は失われ、空白の2年間は黒雪の主観と自己顕示欲を満足させるような対外交渉記録と偏った交流範囲の記録しか残っていない。
この2年間は、その負の遺産を過去のレベルまで何とか引き上げようと奮戦した期間だった。
「オレの英語、大丈夫か?ケン。」
ケンの父親ぐらいしか親しくネイティブと話した事のない藤丸が、まわりの会話を聞いて確認した。
「聞こえているなら大丈夫だ。こんな場所初めてだろ。」
彼の顔を見るケンの視線を受け止めて、藤丸は頷く。
「何にでも、初めてはあるものだ。」
キックオフ・パーティーのホールに向かうケンについて、藤丸は白雪に腕をかして彼について行く。
「そうじゃねぇよ。」
両手で彼の腕を掴もうとする彼女の手を直す。
「ほら、今日は外人パーティーのデビューの日だって思えば、楽しいだろ。」
彼女の歩幅に合わせて、藤丸がゆっくり歩く速度を緩め、彼のストレートチップデザインの黒革靴と、白雪の赤いエナメルのローヒールが柔らかい靴音を立てる。
「アメリカ風で悪いけどな。」
とケンがその会場入り口で二人が追いつくのを待ってから、3人で人々のざわめきが漏れ出るホールへと入って行った。
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いけ好かないパーティへの準備だったが、今の東京の立場から欠席はできないのでしょうが無い。
隣の扉をノックして声をかけた藤丸に答えて
「うん!」
とドアを開けて白雪が藤丸を見上げた時、彼女の視線がぴたっと彼に固定された。
「藤丸、白雪、用意出来たか?おっ!?」
今日は米軍幹部が開催する恒例のAnnual kick off party in Japan(注:年初に行われる在外米軍関係者向けの懇親会のようなもの)に日本側から出席する日だ。
そこは、向こうの習慣と高官たちの話題に合わせて隙のないようにしないと、いつ足をすくわれるか分からない、油断の出来ない外交の場所でもある。
「似合ってるな、藤丸。」
18歳になった彼が洋風の礼装に身を包んでる姿は、十分欧米の重鎮を納得させられるぐらいぴったり似合っていた。
艶のある黒髪を上げている以外は、あつらえたわけではないが濃紺のタキシードを品よくパーフェクトに着こなし、そのストレートの黒髪から、きっとどこのアジアの王子が来たんだと、ご婦人方から噂されるぐらいはいけるに違いない。
「なんだよ、ケン。」
白雪からもじっと見られて、藤丸はベージュが基調の繊細なレースをたっぷりあしらったドレスに、いつもの赤いヴェールを纏う彼女に腕を貸す。
「いや、尊くんよりも良かった。うん、うちのオヤジも黙らせられる。」
今まで中ノ下とごまかして出席していたが、さすがに3年目ともなると華やかさをオヤジからリクエストされてケン Jr.は困りきっていたのだ。
白雪ちゃんも思った通り可愛いぞ、と声を掛けるケンに、
「ケン、だからって白雪を出すのはどうなんだよ。そりゃ、こんなとこに堂々と出て来るとは思わないかもしれねぇけどよ、バレたらって思うと諸刃だぜ。」
ま、絶対守るけどよ、と身支度を整えた部屋出て、都庁舎の廊下をエントランスに向かって歩く。
そこにはキックオフ会場へ向かうための白いリムジンが待っていて、3人とも乗り込んだのを確認してから、藤丸は今日の会場がある在日米軍基地内へ、と運転手に告げた。
「さすがにあの白雪だとは俺もオヤジにさえ言ってないさ。」
二人の正面に腰掛けた軍服の礼装のケンが答える。
「天城屋をつけるのを避けたのもそのせいだからな。」
「まったく・・・あいつまた、くそ面倒な事をオレに押し付けやがって・・・」
「何か言われたのか?天城屋から。」
面白そうにケンが聞いて来る。
「あいつが白雪がらみで何か言わない事があるか?」
ーまったく、、、なーにが白雪様護衛マニュアルだ。
昨日天城屋に呼び出されて、3時間の講義と一緒に渡された500ページ以上の冊子を思い出し藤丸はうんざりする。
と、タキシードの裾を引っ張られ、藤丸は白雪が自分を見ているのに気付いた。
「藤、私と一緒、いや?」
「そ、そーゆー意味じゃない!ただ天城屋がうざいだけで、」
少し困った顔をした白雪に、あせって言い訳をしている藤丸の様子がおかしくて、ケンはくすり、と笑う。
「どっちにしても、兼通訳だったら藤丸の方が適任だ。思ったよりもずっと礼装も似合うし、ただ、地は出すなよ。」
白雪の機嫌を取ろうと、すっごくかわいくなったとか、ドレスが似合っているとか一生懸命彼女を褒める藤丸にケンは釘を刺す。
「わかってる。お上品に、米国風にだろ?」
基地が近づいて来て、大型のリムジンが何台か周りに見えて来た。
「そうだ。ああいう所はすぐに人を値踏みするからな。まあ、米国人から見たら二人とも子どもだろうから、多少無邪気にしていれば問題ないさ。」
検問を問題なく通過して、会場のある日本駐留軍総帥の建物に移動する。
「緊張するか?白雪。」
ふるふる、と藤丸をじっとみて白雪が返事をした。
「今日は最高に美人でいけよ。」
リラックスさせるように白雪の目をじっと見てから、彼女の手を取ってちょっとコミカルに振って、笑いかけた。
「白雪ちゃん、普通にしてれば大丈夫だからな。」
優しいケンの言葉に白雪はこっと笑って、藤丸頼むぞ、とケンはそれとは別に彼に声を掛ける。
「情報外交戦、開始だよな。」
「そうだな。もし何か気になる話が聞こえたら、すぐ言えよ。」
ケンの表情が若干真剣になる。
2年前の黒雪の圧政と東京実験場の閉鎖から、東京は米軍のサポートによる復興期にさしかかっていたが、未だ米国はそのPACOM (Pacific Command/米国太平洋軍) 配下の軍を東京から引き上げてはいなかった。
その裏に、人間に桁外れの能力を与えるグリムロックのオリジナルを入手しよう、という意図がある事は分かっていたが、果たしてそれをどのように使おうとしているのか、彼らがどこまで東京での実験内容と事情を把握しているのかは、東京サイドではまだはっきり掴めていない。
東京では対外交渉に当たれる経験者も人材も不足しており、米国PACOMトップとの話し合いは、この2年腹の探り合いの呈から進捗しておらず、有益な情報はケンの人脈と今回のように時節開かれる在東京米軍のイベントの出席によって、入手できる事が多かった。
それでも、直接米国の動きを牽制行動が可能な外交交渉ができる根拠になる情報には圧倒的に不足しており、この2年間何事も起こらない事を、願っているのが現在東京で行政の中心にいる、旧新宿討伐の年長メンバーと、アドミン及び近衛のトップの現状ではあるのだが・・・。
「ほら、白雪ちゃん、藤丸。着いたぞ。」
在日本駐留米軍総帥の居宅前に、リムジンが止まった。
アメリカ人の住宅にしては、小振りの作りだが、その門構えはさすがPACOMの高官のものらしく、今の東京では入手できそうにない、大理石の石柱がエントランスを囲むようにいくつも建っている。
その表玄関の側にはいくつものリムジンが既に止まっていて、中から着飾った婦人とそのパートナーの軍服の礼装に身を包んだ軍人が、次から次へと建物の中に入って行った。
一瞬、リムジンから降りた白雪が、その華やかな様子に圧倒されたのか、エスコートをする藤丸の腕をぎゅっと掴んだ。
エントランスからは建物の中の明るいシャンデリアのもの、と思われる光が漏れ出てきて、既に東京では誰の記憶にも彼方になってしまった欧米社交界の片鱗の様が伺える。
「心配すんな。お前はお花みたいに、笑ってりゃいいんだよ。」
自分を見上げる彼女の不安そうな顔に、藤丸が笑いかける。
それでも、なかなかいつもの笑い顔が現れないので、ほれほれ、と彼女の頬をつまんでぷにぷにした。
「藤ー!痛い!!」
エスコートされた手を離して、白雪がぽかぽか殴ってきたので、ははっ、いてーよ、と頬の手を離してそのグーパンチを自分に当たらないように、手で覆った。
「そろそろ中に入るぞ。」
緊張がほぐれた白雪と藤丸をK.K.は屋敷の内部へ先導する。
リムジンから降りてその建物に入った時に、藤丸も思わずその自分の周囲がいつもの自分を取り巻く環境と違って目を見張った。
東京は黒雪の圧政から2年経っただけで、その対外国向けの交流はまだ始まったばかりだ。
隕石の衝突のせいで、過去にあったキーパーソンの人脈は失われ、空白の2年間は黒雪の主観と自己顕示欲を満足させるような対外交渉記録と偏った交流範囲の記録しか残っていない。
この2年間は、その負の遺産を過去のレベルまで何とか引き上げようと奮戦した期間だった。
「オレの英語、大丈夫か?ケン。」
ケンの父親ぐらいしか親しくネイティブと話した事のない藤丸が、まわりの会話を聞いて確認した。
「聞こえているなら大丈夫だ。こんな場所初めてだろ。」
彼の顔を見るケンの視線を受け止めて、藤丸は頷く。
「何にでも、初めてはあるものだ。」
キックオフ・パーティーのホールに向かうケンについて、藤丸は白雪に腕をかして彼について行く。
「そうじゃねぇよ。」
両手で彼の腕を掴もうとする彼女の手を直す。
「ほら、今日は外人パーティーのデビューの日だって思えば、楽しいだろ。」
彼女の歩幅に合わせて、藤丸がゆっくり歩く速度を緩め、彼のストレートチップデザインの黒革靴と、白雪の赤いエナメルのローヒールが柔らかい靴音を立てる。
「アメリカ風で悪いけどな。」
とケンがその会場入り口で二人が追いつくのを待ってから、3人で人々のざわめきが漏れ出るホールへと入って行った。
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