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20th April, 2015Short Story/
「Xmas day」 と「藤丸区長のある日のアフターワークの話」をpixivから転載&加筆
7th August, 2014
Short Story/
Fujimaru, the New Hachiohji Head of a ward, has stationed !/藤丸新八王子区長、着任!をup
1st August, 2014
Five Years After the Battle in Shinjuku 3-4をup
4th July, 2014 サイト開設
about
website master : kikourl : http://wisteria.yukigesho.com
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八王子区庁舎を出ていつものように自室に戻る。
暗号キーをインプットしてシャッターをあげると毎日自分が寝起きしてるベッドが目に入った。
灯りをつけて入り口を閉め、はぁ、と息をついてどさっとベッドに腰掛けた。
気がついたように重いブーツを引っ張って、ぽいっとその辺に投げ捨てる。
帰りがけに押し付けられた八王子区の税収の書類を、バサっと叩きつけるようにベッドに置いて自分もごろっとそこに寝転がった。
天井のライトが少しちらついていて、そろそろ切れる気がする。
ーくだらねぇ・・・
毎日自分を恐れて、というよりは都知事の粛清を恐れて自分にかしずいている八王子区の職員へ、自分の気の赴くままに当たり散らすのもいい加減飽きてきていた。
ーま、実験所にいた時よりはマシだけどよ。
んっ、とベッドで伸びをすると右手の指先にバチっと感触があった。
「んだよ、かまって欲しいのか?」
F-14の鼻先が指に触れて、藤丸は身体を起こした。
八王子の区庁舎では見せない、微かな笑顔が顔に表れてトムキャットの模型機体を手に取る。
「何でもないって、、、おめぇ、アメリカ生まれの割には素直じゃねぇのな。」
またバチっと藤丸の右手が鳴って、何か分かったのかトムキャットのリモコンに手を伸ばした。
Boooon、と自分の手を離れて飛び始めたF-14を気にかけながら、藤丸は冷蔵庫を開ける。
オレンジジュースを1リットルパックから直接口に入れた時に、またバチン、とリモコンに触れている右手が鳴った。
「調子が悪いなら、悪いって言えよな。」
ジュースを冷蔵庫に戻して、リモコンを口にくわえて両手で自分の元に戻ってきたF-14を調べ始めた。
脱いだ上着に手を伸ばして、ベルトの工具を引き寄せたが、これじゃねぇな、とつぶやいてからベッドを離れて、PCの側に散らかしてあるもっと小型のドライバーを手に取る。
キリ、とエンジンの部分を開けて中を確認し始めた藤丸が、特にこれって悪りぃところねぇな、と言うとバチバチと抗議するように火花が散った。
「オレはもっと早く飛べるはずだって、しょうがねぇだろ。ケンからF-14の話聞いて、作ってみたくなって、ろくな資料なかったんだから。。。ちゃんと確かめて改良しろって、、本当おめぇガンガン要求してくんのな。日本生まれの機体なんておとなしいもんだぜ?」
パチン、と音がして藤丸がハッと気づいたようにトムキャットを見たら、何も右手からは感じられなかった。
藤丸の紅い瞳が少し優しい色を帯びて、手元の模型飛行機を見る。
「やじゃねぇよ、全然。ただ、どーしたらいーかわかんねぇから、すぐに出来ねぇだけで。」
一度開けた機体を元に戻して、また口にリモコンをくわえてどさっとベッドに身体を投げ出すと、両手でF-14を天井の方へ高く持ち上げる。
バチン、バチン、とまた会話が始まって、藤丸が楽しそうに鼻で笑った。
「そだな、いつかモノホン見に行こうな、ってコントローラ口に咥えるなって、おい。」
と、都庁システムに接続している彼の小型端末から、K・Kのコールが入った。
トムキャットを脇に置き、すぐにそれに答える。
「ケン、何かあったのか?」
一瞬怪訝な色を帯びた顔が、すぐに昔馴染みのリラックスした会話の表情に戻った。
「そーいやさ、F-14ってどのくらい早く飛ぶんだ?」
脇に置いたそれを手にとって聞くと、K・Kがまたお前はプラモで遊んでるのか?と返ってきて、バチン、とF-14が鳴る。
「だってよ、オレが作ったこいつが、ナマイキにもっと早いはずだって言いやがってよ。」
腹減ったな、とベッドを立って、K・Kと話しながら冷蔵庫の上に積んであるスパムを開けた。
「おい藤丸、また缶詰ばっかり食ってるのか?」
開ける音を端末が拾ったらしく、K・Kがいつもの小言を言いだし、食いもんなんて腹に入れば何でもいーじゃねぇか、と藤丸が直接缶詰からスパムをスプーンでざっくりと力を入れてすくい取って、口に入れた。
野菜も食え、といういつものセリフが聞こえてきて、藤丸が聞き流していると、
「たまには立川に来い。軍のランチ食わせてやる。藤丸、お前アメリカン・ビーフ・アボカド・バーガー好きだったろ。」
とため息まじりにK・Kが言ってきた。
自分の好物を言われて、藤丸が答える前にトムキャットがバチン、と答えた。
「おめぇ、日本の軍なんだからおめぇの仲間はいねぇよ。」
しゅん、としたようにパチパチと弱々しくトムキャットが答える。
端末の向こうのK・Kが面白そうに鼻で笑って、
「それも連れて来い。F-14じゃないが、米軍輸送機もあるから。藤丸、お前も息抜きに来いよ。」
と言ってコールは終わった。
半分くらいスパムを口にすると、お腹がいっぱいになって藤丸は適当にスパム缶をその辺に置いた。
F-14も壊さないように、ベッドの上から机の上に移動させる。
置いたときにパチン、と鳴ったF-14に
「そだな、一緒に行こうな。」
と藤丸が呟いた。
ベッドに横になって、お腹がいっぱいで大の字になって目を閉じたが落ち着かなくて、薄い毛布をかけて体を丸める。
ー明日は、税収対策だったな。
眠くなる前に一度目を通しておこうと、帰ってきたときに放り投げた書類を手に取った。
右手の実験で、毎日スケジュールをこなしていた時よりもずっと自由だ今は、と思う。
でも、本当に自分はここにいたいのか、と言われるといつもどこかに逃げたかったと思う。
ーでも、何処へ?
ここで思考は止まる。
実験室と八王子区以外に自分の知っている場所がないからだ。
税収の数値を目で追いながらオレは何処へ逃げたいのだろうと考えた。
幼い時から白い箱庭に閉じ込められていて、自分の中に答えは見つからない。
ーもっと広い場所で、自由に飛びてぇのかな。
わがままを言うトムキャットの気持ちが、今わかる気がした。
*F-14:米国グラマン社が開発した艦上戦闘機。愛称は「雄猫」を意味するトムキャット。詳しくはwikiでどうぞ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/F-14_(戦闘機)
この後は、web crapの話に続く感じで⭐︎
暗号キーをインプットしてシャッターをあげると毎日自分が寝起きしてるベッドが目に入った。
灯りをつけて入り口を閉め、はぁ、と息をついてどさっとベッドに腰掛けた。
気がついたように重いブーツを引っ張って、ぽいっとその辺に投げ捨てる。
帰りがけに押し付けられた八王子区の税収の書類を、バサっと叩きつけるようにベッドに置いて自分もごろっとそこに寝転がった。
天井のライトが少しちらついていて、そろそろ切れる気がする。
ーくだらねぇ・・・
毎日自分を恐れて、というよりは都知事の粛清を恐れて自分にかしずいている八王子区の職員へ、自分の気の赴くままに当たり散らすのもいい加減飽きてきていた。
ーま、実験所にいた時よりはマシだけどよ。
んっ、とベッドで伸びをすると右手の指先にバチっと感触があった。
「んだよ、かまって欲しいのか?」
F-14の鼻先が指に触れて、藤丸は身体を起こした。
八王子の区庁舎では見せない、微かな笑顔が顔に表れてトムキャットの模型機体を手に取る。
「何でもないって、、、おめぇ、アメリカ生まれの割には素直じゃねぇのな。」
またバチっと藤丸の右手が鳴って、何か分かったのかトムキャットのリモコンに手を伸ばした。
Boooon、と自分の手を離れて飛び始めたF-14を気にかけながら、藤丸は冷蔵庫を開ける。
オレンジジュースを1リットルパックから直接口に入れた時に、またバチン、とリモコンに触れている右手が鳴った。
「調子が悪いなら、悪いって言えよな。」
ジュースを冷蔵庫に戻して、リモコンを口にくわえて両手で自分の元に戻ってきたF-14を調べ始めた。
脱いだ上着に手を伸ばして、ベルトの工具を引き寄せたが、これじゃねぇな、とつぶやいてからベッドを離れて、PCの側に散らかしてあるもっと小型のドライバーを手に取る。
キリ、とエンジンの部分を開けて中を確認し始めた藤丸が、特にこれって悪りぃところねぇな、と言うとバチバチと抗議するように火花が散った。
「オレはもっと早く飛べるはずだって、しょうがねぇだろ。ケンからF-14の話聞いて、作ってみたくなって、ろくな資料なかったんだから。。。ちゃんと確かめて改良しろって、、本当おめぇガンガン要求してくんのな。日本生まれの機体なんておとなしいもんだぜ?」
パチン、と音がして藤丸がハッと気づいたようにトムキャットを見たら、何も右手からは感じられなかった。
藤丸の紅い瞳が少し優しい色を帯びて、手元の模型飛行機を見る。
「やじゃねぇよ、全然。ただ、どーしたらいーかわかんねぇから、すぐに出来ねぇだけで。」
一度開けた機体を元に戻して、また口にリモコンをくわえてどさっとベッドに身体を投げ出すと、両手でF-14を天井の方へ高く持ち上げる。
バチン、バチン、とまた会話が始まって、藤丸が楽しそうに鼻で笑った。
「そだな、いつかモノホン見に行こうな、ってコントローラ口に咥えるなって、おい。」
と、都庁システムに接続している彼の小型端末から、K・Kのコールが入った。
トムキャットを脇に置き、すぐにそれに答える。
「ケン、何かあったのか?」
一瞬怪訝な色を帯びた顔が、すぐに昔馴染みのリラックスした会話の表情に戻った。
「そーいやさ、F-14ってどのくらい早く飛ぶんだ?」
脇に置いたそれを手にとって聞くと、K・Kがまたお前はプラモで遊んでるのか?と返ってきて、バチン、とF-14が鳴る。
「だってよ、オレが作ったこいつが、ナマイキにもっと早いはずだって言いやがってよ。」
腹減ったな、とベッドを立って、K・Kと話しながら冷蔵庫の上に積んであるスパムを開けた。
「おい藤丸、また缶詰ばっかり食ってるのか?」
開ける音を端末が拾ったらしく、K・Kがいつもの小言を言いだし、食いもんなんて腹に入れば何でもいーじゃねぇか、と藤丸が直接缶詰からスパムをスプーンでざっくりと力を入れてすくい取って、口に入れた。
野菜も食え、といういつものセリフが聞こえてきて、藤丸が聞き流していると、
「たまには立川に来い。軍のランチ食わせてやる。藤丸、お前アメリカン・ビーフ・アボカド・バーガー好きだったろ。」
とため息まじりにK・Kが言ってきた。
自分の好物を言われて、藤丸が答える前にトムキャットがバチン、と答えた。
「おめぇ、日本の軍なんだからおめぇの仲間はいねぇよ。」
しゅん、としたようにパチパチと弱々しくトムキャットが答える。
端末の向こうのK・Kが面白そうに鼻で笑って、
「それも連れて来い。F-14じゃないが、米軍輸送機もあるから。藤丸、お前も息抜きに来いよ。」
と言ってコールは終わった。
半分くらいスパムを口にすると、お腹がいっぱいになって藤丸は適当にスパム缶をその辺に置いた。
F-14も壊さないように、ベッドの上から机の上に移動させる。
置いたときにパチン、と鳴ったF-14に
「そだな、一緒に行こうな。」
と藤丸が呟いた。
ベッドに横になって、お腹がいっぱいで大の字になって目を閉じたが落ち着かなくて、薄い毛布をかけて体を丸める。
ー明日は、税収対策だったな。
眠くなる前に一度目を通しておこうと、帰ってきたときに放り投げた書類を手に取った。
右手の実験で、毎日スケジュールをこなしていた時よりもずっと自由だ今は、と思う。
でも、本当に自分はここにいたいのか、と言われるといつもどこかに逃げたかったと思う。
ーでも、何処へ?
ここで思考は止まる。
実験室と八王子区以外に自分の知っている場所がないからだ。
税収の数値を目で追いながらオレは何処へ逃げたいのだろうと考えた。
幼い時から白い箱庭に閉じ込められていて、自分の中に答えは見つからない。
ーもっと広い場所で、自由に飛びてぇのかな。
わがままを言うトムキャットの気持ちが、今わかる気がした。
*F-14:米国グラマン社が開発した艦上戦闘機。愛称は「雄猫」を意味するトムキャット。詳しくはwikiでどうぞ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/F-14_(戦闘機)
この後は、web crapの話に続く感じで⭐︎