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7th August, 2014Short Story/
Fujimaru, the New Hachiohji Head of a ward, has stationed !/藤丸新八王子区長、着任!をup
1st August, 2014
Five Years After the Battle in Shinjuku 3-4をup
4th July, 2014 サイト開設
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「白雪様・・・今日もうららかな良い日和でございますねぇ・・・・。」
小さい白雪に、大きな苺がのった白雪の衣装のようなショートケーキと、ダージリンティーをサーブして、天城屋が満足そうに彼女の隣でナイトのように侍った。
一口ショートケーキをほおばった白雪が、んーーー!!!と喜びの声を上げて、天城屋にニコニコした顔を向ける。
「はっ!白雪様。お気に召して頂けましたか?そのショートケーキは、あのオテル・ドゥ・ミクニに特別注文させて頂きましたもので・・・・」
さらに、にこっと笑った白雪が、天城屋の頭をいこいこ、と撫でたのを、至上の喜びのように天城屋は顔を赤らめて受けたのだった。
そんな平和な瞬間を・・・・
「し!しらゆきーーーー!オレのプリンがーーーー!!!」
と尊が大声で叫びながら、勢い良く飛び込んで来て、床に倒れ込んだ。
「!、!!!」
尊に特別に思い入れがある白雪は、自ら尊を助け起こそうと、ショートケーキは半ばに彼に寄って手を取る。
「下郎・・・・・・・、この瞬間を邪魔しにくるなんて、あんた何の用ですか?」
自分の至高の時間を妨害されて、尊の襟首をつかみあげて締め上げんばかりの天城屋に、まって、くるしーと尊が言い返す。
「ぎーや!ぎーや!」
と、白雪が天城屋を止めて、やっと尊は依頼者として白雪探偵事務所の、依頼者席に着席を許されたようだった。
あっ、申し訳ない、この話は白雪が主役のディテクティブ・ストーリー。
プリンだろーが、恋人の浮気だろーが、湯煙殺人事件だろーが全て、白雪様が解決してくれる本格推理もの(本当か!?)である。
で、今回の依頼人の尊。
白雪とは旧知の仲で、今のパートナーの天城屋も嫉妬する程の蜜月っぷりを白雪と生み出せるキャラである。
その彼が持ち込んだ事件とは・・・・・・。
昨日な、オレすごいお気に入りのプリンをコンビニで見つけて、でも、すぐは食べられないから名前を書いて冷蔵庫に入れておいたんだ・・・・。
尊の事情聴取から、天城屋が一応状況を書きとめ、白雪は真剣な顔で尊を見つめる。
「だから、朝食にプリンを食べようと思ったら!もうなくなってて!どーしーよー白雪!あれ大好きなのにー!!!!」
大方事情聴取が終わった天城屋が、ふっとエンビツの芯を吹いたのと、白雪がわーんと泣きつく尊を抱きとめたのが同時だった。
「下郎!!白雪様にくっつき過ぎだ!!!!」
とべりっと白雪から剥がされ、尊はなぜか天城屋の腕の中でしくしく泣いている。
「とにかく、現場検証でございますな。」
と尊を気遣う白雪を早く落ち着かせてお茶の時間の続きをしようと、自分にくっついている依頼者を再度べりっとはがし、今回の依頼の案件を早急に片付けるため一同は事務所を出たのだった。
赤銅家の冷蔵庫を検分しに来た白雪一行は、偶然にも泉元隊長がいらっしゃるのにカチあった。
「で、あんたは、プリンは食べてないと。」
「お前なら何時食べてもいいがな。」
と訳の分からない応答になって、食べるのはプリンだけにしといて下さいね、と丁寧な言葉とは裏腹に凶暴な攻撃が繰り出される。
兄キ!大ジョブか!?、とぶっ倒れた泉を気遣う尊の言葉を背景に
「白雪様、じゃあ近所の様子を見てみましょうか。」
と探偵の王道を天城屋は提案する。
赤銅家の右隣は潮兄弟で、左隣はK・Kと藤丸が住んでいる。
「白雪様、どちらがよろしいですか?」
と天城屋が言うのに、うーーーむ、と白雪が地図(天城屋作)を睨んで、ケン&藤丸家を指し示した。
「では、いざゆかん!お隣へ!」
と天城屋がとっとと白雪を引っ張って行ったのに、天城屋のパンチにつぶれた泉を気遣うように視線を向け白雪はその場を去るのだった。
「?何の用だ。天城屋。」
滅多に絡む事のないK・Kに玄関に迎えられて、一瞬うっ、と言葉が詰まった天城屋だったが、白雪が持ち前の人なつこさを発揮して、ケンの足元に抱きついてきた。
「どうした、きみはまた、なにか困った事でもあったのか?」
とダイニングに彼女を抱き上げて移動するケンに、ふしゅる〜、気安く白雪様に触れるな〜、と嫉妬の怒りが沸々と天城屋にわいて、後ろから二人について行く。
「あっ!!」
と白雪がK・Kと一緒にダイニングに来た時に、ちょうど藤丸がプリンを食べていた。
「むむむむむ・・・・」
と藤丸のプリンを難しい顔をして見つめる白雪に、
「何だよ。おめぇ食べたいのか?」
ほれ、と一口プリンをスプーンで差し出されて、思わずぱくっと口にする白雪。
「し、しらゆきさま〜。そんな機械オタクの食べかけなんか、口にされては・・・・。」
プリンよりも、白雪の行動にショックを受けた天城屋は、ガクッとケネス家のダイニングに膝をついた。
白雪の方は、一口もらったプリンがかなり美味しかったらしく、ぱぁっと顔が幸せそうになって、もうちょっと、という風にケンの腕の中で藤丸に要求する。
「一口と言わず、一個やるよ。昨日いっぱいもらったから。」
変態眼鏡もうぜぇしよ、と藤丸は冷蔵庫を開けて、グランマシーのロゴがついているケーキボックスにきれいに詰めてあるプリンを取り出す。
「ん?一個じゃないのか?」
ダイニングの椅子に座ったケンと、その隣で椅子に降ろされてそこに立っている白雪が、二個、と指を出してから、首を傾げ、三個?と訂正しようとしている。
「どちらにしましても、ここはプリンがどっさりあるから犯人ではございませんね。」
先ほどのショックからすぐに復活した天城屋が、すっくと立って調査の結論を言った。
結局自分と天城屋と赤銅兄弟で4個のプリンをもらって、ケン&藤丸家を去る白雪と天城屋。
「あいつら何しに来たんだ?」
プリンもらいにか?と聞いて来る藤丸に、さあ?とケンも二人を送り出して戻って来て答えた。
「このプリン、ちょーうめー!!!」
白雪がお土産にもらってきたプリンを、一緒に食べて尊が感動したように大声で感想を言った。
「そりゃそーでござんましょ。海外ブランドのプリンですからね。」
自分が買ってきたわけでもないのに、偉そうに尊に講釈をたれながらプリンを食す天城屋。
今日会った時の泣き顔から、すっかり笑顔になった尊を見て、白雪は安心したように、一緒にプリンを食べ終わった。
「さて、プリンに満足したんなら、もう調査は必要ございませんね。」
まだ、天城屋の攻撃から回復していない赤銅泉の分を、冷蔵庫に入れて天城屋はさっさと退散しようと尊に言った。
「でもさぁ、これもおいしいけど・・・あのプリンはオレに取って特別なんだよなぁ。」
と尊が寂しそうに言う。
「これはすんげー、高級感あるけど、オレのお気に入りのコンビニのやつは、食べてていつものおいしい普段着の味っていうか・・・。」
尊の言葉を聞いて、白雪がまた心配そうに彼を見て、なでなで、とその手を慰めるように触れる。
「しょーがありませんねぇ・・・。」
白雪様、別のお隣にまいりますか?と天城屋が言って、こくり、と力強く白雪が頷くのだった。
「プリン?何の事だ?」
ちょうど、夕食の買い物から帰ってきて、座卓にその食材をどさっと置いた宗一が、宗二と一緒に居間で白雪と天城屋と対面した。
その目の前で白雪が正座をして、真剣に二人を見ているのに、下らない事情とは思いつつ、天城屋が今までの事を簡単に説明する。
「しかし、プリンが食べたければ赤銅の家に忍び込むよりも、買いに行った方が早いがな。」
だよな、と宗一が宗二に話しかけるのにうん、と宗二が頷く。
ーそりゃ、そーでしょうよ。
とすると、犯人は尊が寝ぼけて食べていない限りは赤銅泉、ということになる。
でも、泉ははっきり食べていないと言っていた・・・・。
「あっ、兄ちゃん。僕、昨日の夜、台所で尊くんのお兄ちゃんがうろうろしているの見たよ。」
と宗二が言ってきた。
「尊じゃなくてか?」
「うん、身体が全然大きかったし。」
潮家の台所と赤銅家の台所は向き合っていて、窓から人影ぐらいは見えるのだ。
その言葉で白雪がぴん、と来たらしく、すっくと凛々しい表情をして立ち上がった。
「白雪様、犯人が分かりましたか!」
天城屋の言葉に、力強く頷く白雪。
お役に立てたなら良かったよー、と玄関まで宗二が白雪と天城屋を送り、宗一は奥で食事の支度を始める。
じゃあねー、今度は夕食食べに来なよー、という宗二にバイバイ、と白雪はにこっと手を振って、天城屋と一緒にお隣の赤銅家に消えたのだった。
ちょうど、夕飯時になって来ていたので、赤銅家はちゃぶ台の上に、食事の用意を始めていた。
「あっ、白雪も天城屋も一緒に食ってけよー。」
お土産のプリンで大分機嫌が直った尊が、帰ってきた二人に声を掛ける。
「それよりも、白雪様がプリン事件の犯人が分かったようで。」
「えっ!本当か!?」
すげぇな、やっぱり白雪は、と尊が言って、白雪は大きく頷いた。
「で、誰?」
と尊が聞くのに、すっと指を台所の方に向けると、ちょうど麻婆豆腐を持って居間に入ってきた赤銅泉をそれは指していた。
「兄キ!ひでぇ!オレのプリン食べてないって嘘着いたのかよ!!!!」
掴み掛かる尊を簡単に片手で払って、マーボのあんかけ汁がこぼれそうな皿を、慎重にちゃぶ台へ置く。
「プリン・・・・?もしかして、お前の名前が書いてあったやつか?」
「そーだよ!今日食べるの楽しみにしてたのに!!」
少し、記憶を探るように頭をかしげて、赤銅泉は口を開いた。
「ああ、昨日の夜、冷蔵庫の中の賞味期限切れの食材チェックしててな。あれ、切れてたから捨てたぞ。」
は?、と動きが止まる尊と、きょとんとする白雪と、やれやれ、とため息をつく天城屋。
ピーッと炊飯器の合図がなって、飯が炊けたようだな、と赤銅泉は四人分のご飯をよそう。
「アンタねー。もうちょっと弟さんとコミュニケーションとって、ちゃんと落ち着くよう教育してくれませんかねぇ。」
と茶碗を受け取りながら、赤銅泉に愚痴る天城屋。
「それで、アンタも。すぐに白雪様を頼らない!」
びしっと天城屋が尊に鋭く言い放って、全く白雪様との至高のお茶の時間を邪魔されて、、、とぶちぶち言いながら、さっさと食事を始める。
その天城屋の服の裾をちょいちょい、と白雪が引っ張った。
天城屋が目を向けると、
「ぎーや、おいしいね。」
と、白雪がにっこり笑って夕食を口にした。
「そうですね。解決した後の食事は格別でございますね、白雪様。」
と彼女の無垢な笑顔に、天城屋もつられてにっこり微笑む。
「そうだ、白雪も天城屋もありがとーな。ドンドン食べてよ!」
と尊が言うのに、作ったのは俺だ、と泉が突っ込みを入れる。
こうして、赤銅家プリン事件は白雪の冴え渡る勘で、無事に解決したのでした。
小さい白雪に、大きな苺がのった白雪の衣装のようなショートケーキと、ダージリンティーをサーブして、天城屋が満足そうに彼女の隣でナイトのように侍った。
一口ショートケーキをほおばった白雪が、んーーー!!!と喜びの声を上げて、天城屋にニコニコした顔を向ける。
「はっ!白雪様。お気に召して頂けましたか?そのショートケーキは、あのオテル・ドゥ・ミクニに特別注文させて頂きましたもので・・・・」
さらに、にこっと笑った白雪が、天城屋の頭をいこいこ、と撫でたのを、至上の喜びのように天城屋は顔を赤らめて受けたのだった。
そんな平和な瞬間を・・・・
「し!しらゆきーーーー!オレのプリンがーーーー!!!」
と尊が大声で叫びながら、勢い良く飛び込んで来て、床に倒れ込んだ。
「!、!!!」
尊に特別に思い入れがある白雪は、自ら尊を助け起こそうと、ショートケーキは半ばに彼に寄って手を取る。
「下郎・・・・・・・、この瞬間を邪魔しにくるなんて、あんた何の用ですか?」
自分の至高の時間を妨害されて、尊の襟首をつかみあげて締め上げんばかりの天城屋に、まって、くるしーと尊が言い返す。
「ぎーや!ぎーや!」
と、白雪が天城屋を止めて、やっと尊は依頼者として白雪探偵事務所の、依頼者席に着席を許されたようだった。
あっ、申し訳ない、この話は白雪が主役のディテクティブ・ストーリー。
プリンだろーが、恋人の浮気だろーが、湯煙殺人事件だろーが全て、白雪様が解決してくれる本格推理もの(本当か!?)である。
で、今回の依頼人の尊。
白雪とは旧知の仲で、今のパートナーの天城屋も嫉妬する程の蜜月っぷりを白雪と生み出せるキャラである。
その彼が持ち込んだ事件とは・・・・・・。
昨日な、オレすごいお気に入りのプリンをコンビニで見つけて、でも、すぐは食べられないから名前を書いて冷蔵庫に入れておいたんだ・・・・。
尊の事情聴取から、天城屋が一応状況を書きとめ、白雪は真剣な顔で尊を見つめる。
「だから、朝食にプリンを食べようと思ったら!もうなくなってて!どーしーよー白雪!あれ大好きなのにー!!!!」
大方事情聴取が終わった天城屋が、ふっとエンビツの芯を吹いたのと、白雪がわーんと泣きつく尊を抱きとめたのが同時だった。
「下郎!!白雪様にくっつき過ぎだ!!!!」
とべりっと白雪から剥がされ、尊はなぜか天城屋の腕の中でしくしく泣いている。
「とにかく、現場検証でございますな。」
と尊を気遣う白雪を早く落ち着かせてお茶の時間の続きをしようと、自分にくっついている依頼者を再度べりっとはがし、今回の依頼の案件を早急に片付けるため一同は事務所を出たのだった。
赤銅家の冷蔵庫を検分しに来た白雪一行は、偶然にも泉元隊長がいらっしゃるのにカチあった。
「で、あんたは、プリンは食べてないと。」
「お前なら何時食べてもいいがな。」
と訳の分からない応答になって、食べるのはプリンだけにしといて下さいね、と丁寧な言葉とは裏腹に凶暴な攻撃が繰り出される。
兄キ!大ジョブか!?、とぶっ倒れた泉を気遣う尊の言葉を背景に
「白雪様、じゃあ近所の様子を見てみましょうか。」
と探偵の王道を天城屋は提案する。
赤銅家の右隣は潮兄弟で、左隣はK・Kと藤丸が住んでいる。
「白雪様、どちらがよろしいですか?」
と天城屋が言うのに、うーーーむ、と白雪が地図(天城屋作)を睨んで、ケン&藤丸家を指し示した。
「では、いざゆかん!お隣へ!」
と天城屋がとっとと白雪を引っ張って行ったのに、天城屋のパンチにつぶれた泉を気遣うように視線を向け白雪はその場を去るのだった。
「?何の用だ。天城屋。」
滅多に絡む事のないK・Kに玄関に迎えられて、一瞬うっ、と言葉が詰まった天城屋だったが、白雪が持ち前の人なつこさを発揮して、ケンの足元に抱きついてきた。
「どうした、きみはまた、なにか困った事でもあったのか?」
とダイニングに彼女を抱き上げて移動するケンに、ふしゅる〜、気安く白雪様に触れるな〜、と嫉妬の怒りが沸々と天城屋にわいて、後ろから二人について行く。
「あっ!!」
と白雪がK・Kと一緒にダイニングに来た時に、ちょうど藤丸がプリンを食べていた。
「むむむむむ・・・・」
と藤丸のプリンを難しい顔をして見つめる白雪に、
「何だよ。おめぇ食べたいのか?」
ほれ、と一口プリンをスプーンで差し出されて、思わずぱくっと口にする白雪。
「し、しらゆきさま〜。そんな機械オタクの食べかけなんか、口にされては・・・・。」
プリンよりも、白雪の行動にショックを受けた天城屋は、ガクッとケネス家のダイニングに膝をついた。
白雪の方は、一口もらったプリンがかなり美味しかったらしく、ぱぁっと顔が幸せそうになって、もうちょっと、という風にケンの腕の中で藤丸に要求する。
「一口と言わず、一個やるよ。昨日いっぱいもらったから。」
変態眼鏡もうぜぇしよ、と藤丸は冷蔵庫を開けて、グランマシーのロゴがついているケーキボックスにきれいに詰めてあるプリンを取り出す。
「ん?一個じゃないのか?」
ダイニングの椅子に座ったケンと、その隣で椅子に降ろされてそこに立っている白雪が、二個、と指を出してから、首を傾げ、三個?と訂正しようとしている。
「どちらにしましても、ここはプリンがどっさりあるから犯人ではございませんね。」
先ほどのショックからすぐに復活した天城屋が、すっくと立って調査の結論を言った。
結局自分と天城屋と赤銅兄弟で4個のプリンをもらって、ケン&藤丸家を去る白雪と天城屋。
「あいつら何しに来たんだ?」
プリンもらいにか?と聞いて来る藤丸に、さあ?とケンも二人を送り出して戻って来て答えた。
「このプリン、ちょーうめー!!!」
白雪がお土産にもらってきたプリンを、一緒に食べて尊が感動したように大声で感想を言った。
「そりゃそーでござんましょ。海外ブランドのプリンですからね。」
自分が買ってきたわけでもないのに、偉そうに尊に講釈をたれながらプリンを食す天城屋。
今日会った時の泣き顔から、すっかり笑顔になった尊を見て、白雪は安心したように、一緒にプリンを食べ終わった。
「さて、プリンに満足したんなら、もう調査は必要ございませんね。」
まだ、天城屋の攻撃から回復していない赤銅泉の分を、冷蔵庫に入れて天城屋はさっさと退散しようと尊に言った。
「でもさぁ、これもおいしいけど・・・あのプリンはオレに取って特別なんだよなぁ。」
と尊が寂しそうに言う。
「これはすんげー、高級感あるけど、オレのお気に入りのコンビニのやつは、食べてていつものおいしい普段着の味っていうか・・・。」
尊の言葉を聞いて、白雪がまた心配そうに彼を見て、なでなで、とその手を慰めるように触れる。
「しょーがありませんねぇ・・・。」
白雪様、別のお隣にまいりますか?と天城屋が言って、こくり、と力強く白雪が頷くのだった。
「プリン?何の事だ?」
ちょうど、夕食の買い物から帰ってきて、座卓にその食材をどさっと置いた宗一が、宗二と一緒に居間で白雪と天城屋と対面した。
その目の前で白雪が正座をして、真剣に二人を見ているのに、下らない事情とは思いつつ、天城屋が今までの事を簡単に説明する。
「しかし、プリンが食べたければ赤銅の家に忍び込むよりも、買いに行った方が早いがな。」
だよな、と宗一が宗二に話しかけるのにうん、と宗二が頷く。
ーそりゃ、そーでしょうよ。
とすると、犯人は尊が寝ぼけて食べていない限りは赤銅泉、ということになる。
でも、泉ははっきり食べていないと言っていた・・・・。
「あっ、兄ちゃん。僕、昨日の夜、台所で尊くんのお兄ちゃんがうろうろしているの見たよ。」
と宗二が言ってきた。
「尊じゃなくてか?」
「うん、身体が全然大きかったし。」
潮家の台所と赤銅家の台所は向き合っていて、窓から人影ぐらいは見えるのだ。
その言葉で白雪がぴん、と来たらしく、すっくと凛々しい表情をして立ち上がった。
「白雪様、犯人が分かりましたか!」
天城屋の言葉に、力強く頷く白雪。
お役に立てたなら良かったよー、と玄関まで宗二が白雪と天城屋を送り、宗一は奥で食事の支度を始める。
じゃあねー、今度は夕食食べに来なよー、という宗二にバイバイ、と白雪はにこっと手を振って、天城屋と一緒にお隣の赤銅家に消えたのだった。
ちょうど、夕飯時になって来ていたので、赤銅家はちゃぶ台の上に、食事の用意を始めていた。
「あっ、白雪も天城屋も一緒に食ってけよー。」
お土産のプリンで大分機嫌が直った尊が、帰ってきた二人に声を掛ける。
「それよりも、白雪様がプリン事件の犯人が分かったようで。」
「えっ!本当か!?」
すげぇな、やっぱり白雪は、と尊が言って、白雪は大きく頷いた。
「で、誰?」
と尊が聞くのに、すっと指を台所の方に向けると、ちょうど麻婆豆腐を持って居間に入ってきた赤銅泉をそれは指していた。
「兄キ!ひでぇ!オレのプリン食べてないって嘘着いたのかよ!!!!」
掴み掛かる尊を簡単に片手で払って、マーボのあんかけ汁がこぼれそうな皿を、慎重にちゃぶ台へ置く。
「プリン・・・・?もしかして、お前の名前が書いてあったやつか?」
「そーだよ!今日食べるの楽しみにしてたのに!!」
少し、記憶を探るように頭をかしげて、赤銅泉は口を開いた。
「ああ、昨日の夜、冷蔵庫の中の賞味期限切れの食材チェックしててな。あれ、切れてたから捨てたぞ。」
は?、と動きが止まる尊と、きょとんとする白雪と、やれやれ、とため息をつく天城屋。
ピーッと炊飯器の合図がなって、飯が炊けたようだな、と赤銅泉は四人分のご飯をよそう。
「アンタねー。もうちょっと弟さんとコミュニケーションとって、ちゃんと落ち着くよう教育してくれませんかねぇ。」
と茶碗を受け取りながら、赤銅泉に愚痴る天城屋。
「それで、アンタも。すぐに白雪様を頼らない!」
びしっと天城屋が尊に鋭く言い放って、全く白雪様との至高のお茶の時間を邪魔されて、、、とぶちぶち言いながら、さっさと食事を始める。
その天城屋の服の裾をちょいちょい、と白雪が引っ張った。
天城屋が目を向けると、
「ぎーや、おいしいね。」
と、白雪がにっこり笑って夕食を口にした。
「そうですね。解決した後の食事は格別でございますね、白雪様。」
と彼女の無垢な笑顔に、天城屋もつられてにっこり微笑む。
「そうだ、白雪も天城屋もありがとーな。ドンドン食べてよ!」
と尊が言うのに、作ったのは俺だ、と泉が突っ込みを入れる。
こうして、赤銅家プリン事件は白雪の冴え渡る勘で、無事に解決したのでした。