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7th August, 2014Short Story/
Fujimaru, the New Hachiohji Head of a ward, has stationed !/藤丸新八王子区長、着任!をup
1st August, 2014
Five Years After the Battle in Shinjuku 3-4をup
4th July, 2014 サイト開設
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東京都八王子区の元ヘッド阿久津藤丸元区長は、俺様な性格で広いおでこと黒髪ポニテ、
紅い目が特徴のスレンダーな16歳です。
横暴で口が悪いのでぱっと見とっつきにくいですが、 話し慣れて来ると以外と優しい気遣いをしてくれたり、髪をおろすと一瞬美少女に見えたり 可愛い所があるので、密かに一部の(マニアな)人々から人気があったりします。
今日はそんな藤丸元区長の人気な様子をご紹介しましょう。。。
「はい、藤丸。これやる。」
動作不良の発電機を修理していた藤丸の所に、尊が来てぽん、
ときれいに包装された箱を差し出した。
「なんだ、これ?」
修理の手を止めて藤丸が箱と尊を見て聞く。
「そんな根つめてやってると疲れるだろ。甘いものでも食えよ。」
ほらほら、と押し付けられて受け取らないわけにもいかず、
手にとると小さい割に重量があり、パッケージもしっかりしている高級品に見えた。
「こんなの今の東京でどこで手に入れたんだ?」
「輸入品。ほら、開けてみろよ。」
受け取った手前仕方なく包装を解くと、藤丸でも知っている 高級ブランドのショコラがきれいにつめ合わさっていた。
「・・・・・・、赤銅、、お前何かたくらんでるだろ。」
一瞬びっくりした藤丸だったが、すぐに不相応のプレゼントにじろりと疑いの目を尊に向ける。
「ないない!ほら、復興のために働いてお疲れっていうのと、・・・
今日はオレとお前が初めて会った日だったからさ。美味しいから食ってみろよ!」
まだ何か言い足りない様子の藤丸を黙らせようと、
尊は一個チョコトリュフを取って無理矢理藤丸の口の中に入れた。
「ちょっ、お前・・・・!うまっ。」
ここ2年の荒廃した東京の環境では味わえない繊細な味がする。
「なっ、すっげーうまいだろ?」
目を丸くしてうん、と頷く藤丸を尊はニコニコして見て、自分も一個口に放り込んだ。
「オレからお前へのプレゼントなんだから、ちゃんと全部食えよ。」
じっと藤丸の顔を見て、こつん、と額を合わせた後に 尊はじゃ、オレ行くから、とその場を立ち去った。
うめー、ともう一個チョコを口に入れた藤丸は修理作業に戻ろうとしてふっと尊の言葉を思い出す。
ー初めて会った日っていつだ?っていうかあの時の印象最悪だったんじゃなかったか?
ま、これうまいからいいか、あいつイミフの能天気だからな、
と深く考えるのはやめて、発電機のモーターのスイッチを試動してみるのだった。発電機の修理が一段落して、藤丸が残ったチョコを片手に別の仕事場に移動していると、
ちょうど輸入貨物のチェックをしているK・Kに出くわした。
「ケン!」
仕事中だったので声だけかけて直ぐ立ち去ろうとしたのだが、 彼がちょっと待て、と言う仕草をしたので藤丸は立ち止まる。
作業を別の人に頼んで、K・Kは藤丸の所に走って来た。
「今、急いでないか?」
「オレは大丈夫だけど?」
と、K・Kは藤丸が持っている箱に気付く。
「それ、尊くんはお前にあげたのか。」
「今日、なんか突然な。」
白雪ちゃんにかと思ってたが・・・とK・Kは苦笑いのような複雑な笑顔を浮かべたが、 そうだお前を呼び止めたのは、と話を戻した。
「藤丸、最近バイクの調子悪いって言ってただろ。
実はお前のモデルをメーカーで担当していた主任技師が来てくれる事になってな、 特別にオーバーホールしていいと言ってくれたんだが。」
「えっ!本当かよ!」
藤丸の顔がぱっと明るくなった。
「あのバイク引っ張りだして置かないといけないから、 何時頃だったらお前も空いてるかと思ってな。」
「マジで!?すっげー嬉しい。」
うわー、その日は絶対空けとくぜ、と顔がにやけるのを、藤丸は腕を組み、 嬉しくて少し赤くなった表情を隠すように左手で口元を覆った。
「あっ、でも。」
と藤丸の顔が元に戻る。
「やっぱ遠慮する。今復興で手が離せないのに、オレのバイクのためだけに手間ひま掛けるのは悪いし。」
気持ちだけ・・・と言いかけた藤丸をK・Kは急いで遮った。
「遠慮するな、藤丸。こんな機会二度とないかもしれないし、、、、 ほら今日は俺たちが都庁から自由になった記念日だからお祝がわりだ。」
先方ももう来るつもりでいるから、断ると失礼になるぞ、
とまで言われて藤丸はやっと納得したようだった。
「ありがとう、ケン。すっげー嬉しい。楽しみにしてる。」
じゃ、オレ別の修理行くから、とその場を離れる藤丸を、K・Kは嬉しそうに送り出す。
ーって待てよ、自由になった記念日って今日だっけか?
あれーいつだったっけ?と思い出せずに藤丸は歩きながら頭をひねっていると・・・・
「ほら、元区長。お前にだ。」
ぐいっと下の方から胸元に本を突きつけられて、藤丸が視線を下げるとそこには宗一がいた。
「・・・・・・?」
一応受け取ってタイトルを見ようとひっくり返すと、
「プログラミングの本だ。お前はもう右手使えないから、 ちゃんと勉強して出来るようになれる基本書だ。」
そういえば、10代組で宗一に勉強を教えてもらっていた時に、そんな事を言った気がする。
「さ、サンキュ・・・」
「礼には及ばん。お前は他の奴らより頭がいいし、それぐらい将来オレをサポートしてもらえるように投資だ。 まあ、、、」
じろっと藤丸を見上げて宗一は言葉を続けた。
「今日は俺たちが共闘を組んだ記念日だ。平和になった今、祝っておくのも良かろう。」
「それは・・・どうも・・・。」
礼には及ばんから、ちゃんと勉強しろよ、ともう一回言って宗一は立ち去った。
ー共闘記念日・・・・・って何だ一体?
それよりも、何でオレが覚えてない記念日をそれぞれ記憶して祝っているんだ?
と藤丸が漠然と不安を感じた時・・・・・・「はい!藤丸にーちゃん忘れ物!」
と宗二がDVDを差し出した。
「あはははー、デコちゃん面白い顔してるねー。僕からもプレゼント!」
茜も藤丸にぽんと薬袋を渡す。
「えーっと・・・・・またお前らも何か祝う日だって、言うんじゃないだろうな?」
何かパターンが読めて来て、藤丸は二人を不審な目で睨んだ。
「やだなー、デコちゃん。人を疑うなんて人相が悪くなるよー。」
「僕のは兄ちゃんが渡し忘れたの。その本と一緒に使うといいって!」
はいはい、ありがとーよ、と怒るのもバカバカしくなってさっさとその場を立ち去ろうとする。
「デコちゃん、それ頭痛薬だからね。頭痛ひどい時に飲むとちょっと楽になるよー!」
お礼代わりにひらひらと手を振る藤丸。
あと、僕のはデコちゃん名付け記念日だからー!と茜が言うのに、藤丸はずるっとコケそうになった。
ーい、、今のは覚えてなくて正解だよな・・・・・
これ以上知り合いに会いたくない・・・・・・と思って次の修理する発電機の場所に着くと・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・」
動作不良の発電機の前で天城屋と赤銅泉が待ち構えていた。
ー・・・・・・・まだ、何かあるのか!?
だらだらと冷や汗が出て来て、それでも自分でやると言った修理をしない訳にいかず、
なるべく目を合わせないように発電機に近づくと。
「シャー!」
天城屋が威嚇してきて藤丸はびくっとなった。
と藤丸の手元にぐいぐいっとおしゃれなブルーのリボンをかけたパッケージを押し出す。
「CK Oneってコロンか?」
意外なセレクトにサンキュ、と言うと天城屋はゴロゴロのどを鳴らして答えた。
なにげなしにその首元の毛並みを撫でると
ーあっ、これはこれで・・・
予想外に触り心地が良くてくせになる。
「今日は八王子区長に2年前就任した日だろ。」
泉が口を開くと、
「全然めでたくないけどな。」
と藤丸が答えた。
「ガキが社会に出た日に目出たくないことはないさ。」
「そうか?」
天城屋から手を離してさて、仕事するか、と藤丸は発電機に向かおうとすると・・・
「その前にお前はこれ食っとけ。」
どん、と赤銅泉は大鍋を藤丸の前に置いた。
「えっと・・・」
「肉じゃがだ、お前昼食ってないだろ。」
ーいや、、、そーだけど、、、なぜ手料理!?
だらだらだら、と止まっていた冷や汗が復活する。
「た、隊長・・・そ、、その量多すぎ・・・」
「尊はこれぐらい一人で食べるぞ。そんな事だから細くてスタミナ不足なんだ。」
有無を言わさず取り分けられて、藤丸は泉の手料理に口を付けざるを得なくなる。
「っていうか、お前ら兄弟オレをどこまで餌付けしたいんだか・・・。」
「何だ?尊は何をくれたんだ?」と泉の言葉に藤丸は脇に置いていたショコラの箱を指差した。
そのパッケージに天城屋がぴくん、と反応した。
「これは尊、気張ったな。」
泉はそれを手に取って天城屋と一緒に中を検分する。
「食べていーぜ。すげーうまいからよ。」
泉の肉じゃがに口を付けながら藤丸が言う。
その言葉を聞いて泉と天城屋は目を見合わせた。
「やめておこう。全部食べろって尊言ってたんじゃないか?」
ーそれは、そーだけどよ・・・
少し顔が熱くなった気がして、藤丸は二人から顔を背けた。
これは相当お前の事気に入ってるぞ、と泉は箱を返して付け加える。
「じゃ、藤丸。俺の肉じゃがも全部食えよ。置いてくからな。」
「なっ!こんな食えねーよ!」
残すのは許さん、と言い捨てて泉は天城屋の首を捕まえて去って行く。
ーっていうかこんな大鍋もって帰れねーよ!
まったく迷惑な兄弟だぜ、と取りあえず目の前の発電機の修理に藤丸は取りかかったのだった。
色々邪魔が入って、藤丸が2個目の発電機が稼働出来たのは午後六時を過ぎた頃だった。
辺りは日が落ちて、そろそろ真っ暗になってくる頃だ。
ーさて、この荷物どうするか。
ショコラや本、DVD、薬袋やコロンはともかくとして、大鍋・・・・・・。。
と空を見ると見慣れた翼竜の翼が見えた。
「珠!」
藤丸の声に関係ないようにその翼竜は羽ばたきを止め、直ぐ近くに着地した。
とすん、と白雪が降りてきて藤丸の所にととと、とかけて来る。
「なんだ白雪。お前も今日何か記念日があるのか?」
一日上げっぱなしで緩んだ髪を直そうとして、藤丸は髪のゴムを外した。
「うん、藤、いつもありがと。」
座った藤丸の額にちゅっとキスして、白雪は赤いリボンを彼の髪に巻き付け、髪を整えるのを手伝う。
「サンキュ。白雪らしいな。」
と笑顔を向けて今日の戦利品、と彼女に大鍋などを指し示した。
「すごいね!」
「そうだな。」
へへっ、と藤丸は照れ笑いをして白雪と顔を見合わせた。
「みんな、藤、好き。」
「うん。何か、慣れてなくってさ。」
照れている顔を見せたくなくて、両腕に顔を埋める藤丸に、白雪はよしよし、と頭を撫でる。
「よし、帰って赤銅の兄貴の肉じゃが食うか?」
「うん!」
と白雪が答える。
珠も食べるよなー、運ぶの手伝ってくれーと声を掛け、
藤丸元八王子区長の長い記念日は終わったのでした。
紅い目が特徴のスレンダーな16歳です。
横暴で口が悪いのでぱっと見とっつきにくいですが、 話し慣れて来ると以外と優しい気遣いをしてくれたり、髪をおろすと一瞬美少女に見えたり 可愛い所があるので、密かに一部の(マニアな)人々から人気があったりします。
今日はそんな藤丸元区長の人気な様子をご紹介しましょう。。。
「はい、藤丸。これやる。」
動作不良の発電機を修理していた藤丸の所に、尊が来てぽん、
ときれいに包装された箱を差し出した。
「なんだ、これ?」
修理の手を止めて藤丸が箱と尊を見て聞く。
「そんな根つめてやってると疲れるだろ。甘いものでも食えよ。」
ほらほら、と押し付けられて受け取らないわけにもいかず、
手にとると小さい割に重量があり、パッケージもしっかりしている高級品に見えた。
「こんなの今の東京でどこで手に入れたんだ?」
「輸入品。ほら、開けてみろよ。」
受け取った手前仕方なく包装を解くと、藤丸でも知っている 高級ブランドのショコラがきれいにつめ合わさっていた。
「・・・・・・、赤銅、、お前何かたくらんでるだろ。」
一瞬びっくりした藤丸だったが、すぐに不相応のプレゼントにじろりと疑いの目を尊に向ける。
「ないない!ほら、復興のために働いてお疲れっていうのと、・・・
今日はオレとお前が初めて会った日だったからさ。美味しいから食ってみろよ!」
まだ何か言い足りない様子の藤丸を黙らせようと、
尊は一個チョコトリュフを取って無理矢理藤丸の口の中に入れた。
「ちょっ、お前・・・・!うまっ。」
ここ2年の荒廃した東京の環境では味わえない繊細な味がする。
「なっ、すっげーうまいだろ?」
目を丸くしてうん、と頷く藤丸を尊はニコニコして見て、自分も一個口に放り込んだ。
「オレからお前へのプレゼントなんだから、ちゃんと全部食えよ。」
じっと藤丸の顔を見て、こつん、と額を合わせた後に 尊はじゃ、オレ行くから、とその場を立ち去った。
うめー、ともう一個チョコを口に入れた藤丸は修理作業に戻ろうとしてふっと尊の言葉を思い出す。
ー初めて会った日っていつだ?っていうかあの時の印象最悪だったんじゃなかったか?
ま、これうまいからいいか、あいつイミフの能天気だからな、
と深く考えるのはやめて、発電機のモーターのスイッチを試動してみるのだった。発電機の修理が一段落して、藤丸が残ったチョコを片手に別の仕事場に移動していると、
ちょうど輸入貨物のチェックをしているK・Kに出くわした。
「ケン!」
仕事中だったので声だけかけて直ぐ立ち去ろうとしたのだが、 彼がちょっと待て、と言う仕草をしたので藤丸は立ち止まる。
作業を別の人に頼んで、K・Kは藤丸の所に走って来た。
「今、急いでないか?」
「オレは大丈夫だけど?」
と、K・Kは藤丸が持っている箱に気付く。
「それ、尊くんはお前にあげたのか。」
「今日、なんか突然な。」
白雪ちゃんにかと思ってたが・・・とK・Kは苦笑いのような複雑な笑顔を浮かべたが、 そうだお前を呼び止めたのは、と話を戻した。
「藤丸、最近バイクの調子悪いって言ってただろ。
実はお前のモデルをメーカーで担当していた主任技師が来てくれる事になってな、 特別にオーバーホールしていいと言ってくれたんだが。」
「えっ!本当かよ!」
藤丸の顔がぱっと明るくなった。
「あのバイク引っ張りだして置かないといけないから、 何時頃だったらお前も空いてるかと思ってな。」
「マジで!?すっげー嬉しい。」
うわー、その日は絶対空けとくぜ、と顔がにやけるのを、藤丸は腕を組み、 嬉しくて少し赤くなった表情を隠すように左手で口元を覆った。
「あっ、でも。」
と藤丸の顔が元に戻る。
「やっぱ遠慮する。今復興で手が離せないのに、オレのバイクのためだけに手間ひま掛けるのは悪いし。」
気持ちだけ・・・と言いかけた藤丸をK・Kは急いで遮った。
「遠慮するな、藤丸。こんな機会二度とないかもしれないし、、、、 ほら今日は俺たちが都庁から自由になった記念日だからお祝がわりだ。」
先方ももう来るつもりでいるから、断ると失礼になるぞ、
とまで言われて藤丸はやっと納得したようだった。
「ありがとう、ケン。すっげー嬉しい。楽しみにしてる。」
じゃ、オレ別の修理行くから、とその場を離れる藤丸を、K・Kは嬉しそうに送り出す。
ーって待てよ、自由になった記念日って今日だっけか?
あれーいつだったっけ?と思い出せずに藤丸は歩きながら頭をひねっていると・・・・
「ほら、元区長。お前にだ。」
ぐいっと下の方から胸元に本を突きつけられて、藤丸が視線を下げるとそこには宗一がいた。
「・・・・・・?」
一応受け取ってタイトルを見ようとひっくり返すと、
「プログラミングの本だ。お前はもう右手使えないから、 ちゃんと勉強して出来るようになれる基本書だ。」
そういえば、10代組で宗一に勉強を教えてもらっていた時に、そんな事を言った気がする。
「さ、サンキュ・・・」
「礼には及ばん。お前は他の奴らより頭がいいし、それぐらい将来オレをサポートしてもらえるように投資だ。 まあ、、、」
じろっと藤丸を見上げて宗一は言葉を続けた。
「今日は俺たちが共闘を組んだ記念日だ。平和になった今、祝っておくのも良かろう。」
「それは・・・どうも・・・。」
礼には及ばんから、ちゃんと勉強しろよ、ともう一回言って宗一は立ち去った。
ー共闘記念日・・・・・って何だ一体?
それよりも、何でオレが覚えてない記念日をそれぞれ記憶して祝っているんだ?
と藤丸が漠然と不安を感じた時・・・・・・「はい!藤丸にーちゃん忘れ物!」
と宗二がDVDを差し出した。
「あはははー、デコちゃん面白い顔してるねー。僕からもプレゼント!」
茜も藤丸にぽんと薬袋を渡す。
「えーっと・・・・・またお前らも何か祝う日だって、言うんじゃないだろうな?」
何かパターンが読めて来て、藤丸は二人を不審な目で睨んだ。
「やだなー、デコちゃん。人を疑うなんて人相が悪くなるよー。」
「僕のは兄ちゃんが渡し忘れたの。その本と一緒に使うといいって!」
はいはい、ありがとーよ、と怒るのもバカバカしくなってさっさとその場を立ち去ろうとする。
「デコちゃん、それ頭痛薬だからね。頭痛ひどい時に飲むとちょっと楽になるよー!」
お礼代わりにひらひらと手を振る藤丸。
あと、僕のはデコちゃん名付け記念日だからー!と茜が言うのに、藤丸はずるっとコケそうになった。
ーい、、今のは覚えてなくて正解だよな・・・・・
これ以上知り合いに会いたくない・・・・・・と思って次の修理する発電機の場所に着くと・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・」
動作不良の発電機の前で天城屋と赤銅泉が待ち構えていた。
ー・・・・・・・まだ、何かあるのか!?
だらだらと冷や汗が出て来て、それでも自分でやると言った修理をしない訳にいかず、
なるべく目を合わせないように発電機に近づくと。
「シャー!」
天城屋が威嚇してきて藤丸はびくっとなった。
と藤丸の手元にぐいぐいっとおしゃれなブルーのリボンをかけたパッケージを押し出す。
「CK Oneってコロンか?」
意外なセレクトにサンキュ、と言うと天城屋はゴロゴロのどを鳴らして答えた。
なにげなしにその首元の毛並みを撫でると
ーあっ、これはこれで・・・
予想外に触り心地が良くてくせになる。
「今日は八王子区長に2年前就任した日だろ。」
泉が口を開くと、
「全然めでたくないけどな。」
と藤丸が答えた。
「ガキが社会に出た日に目出たくないことはないさ。」
「そうか?」
天城屋から手を離してさて、仕事するか、と藤丸は発電機に向かおうとすると・・・
「その前にお前はこれ食っとけ。」
どん、と赤銅泉は大鍋を藤丸の前に置いた。
「えっと・・・」
「肉じゃがだ、お前昼食ってないだろ。」
ーいや、、、そーだけど、、、なぜ手料理!?
だらだらだら、と止まっていた冷や汗が復活する。
「た、隊長・・・そ、、その量多すぎ・・・」
「尊はこれぐらい一人で食べるぞ。そんな事だから細くてスタミナ不足なんだ。」
有無を言わさず取り分けられて、藤丸は泉の手料理に口を付けざるを得なくなる。
「っていうか、お前ら兄弟オレをどこまで餌付けしたいんだか・・・。」
「何だ?尊は何をくれたんだ?」と泉の言葉に藤丸は脇に置いていたショコラの箱を指差した。
そのパッケージに天城屋がぴくん、と反応した。
「これは尊、気張ったな。」
泉はそれを手に取って天城屋と一緒に中を検分する。
「食べていーぜ。すげーうまいからよ。」
泉の肉じゃがに口を付けながら藤丸が言う。
その言葉を聞いて泉と天城屋は目を見合わせた。
「やめておこう。全部食べろって尊言ってたんじゃないか?」
ーそれは、そーだけどよ・・・
少し顔が熱くなった気がして、藤丸は二人から顔を背けた。
これは相当お前の事気に入ってるぞ、と泉は箱を返して付け加える。
「じゃ、藤丸。俺の肉じゃがも全部食えよ。置いてくからな。」
「なっ!こんな食えねーよ!」
残すのは許さん、と言い捨てて泉は天城屋の首を捕まえて去って行く。
ーっていうかこんな大鍋もって帰れねーよ!
まったく迷惑な兄弟だぜ、と取りあえず目の前の発電機の修理に藤丸は取りかかったのだった。
色々邪魔が入って、藤丸が2個目の発電機が稼働出来たのは午後六時を過ぎた頃だった。
辺りは日が落ちて、そろそろ真っ暗になってくる頃だ。
ーさて、この荷物どうするか。
ショコラや本、DVD、薬袋やコロンはともかくとして、大鍋・・・・・・。。
と空を見ると見慣れた翼竜の翼が見えた。
「珠!」
藤丸の声に関係ないようにその翼竜は羽ばたきを止め、直ぐ近くに着地した。
とすん、と白雪が降りてきて藤丸の所にととと、とかけて来る。
「なんだ白雪。お前も今日何か記念日があるのか?」
一日上げっぱなしで緩んだ髪を直そうとして、藤丸は髪のゴムを外した。
「うん、藤、いつもありがと。」
座った藤丸の額にちゅっとキスして、白雪は赤いリボンを彼の髪に巻き付け、髪を整えるのを手伝う。
「サンキュ。白雪らしいな。」
と笑顔を向けて今日の戦利品、と彼女に大鍋などを指し示した。
「すごいね!」
「そうだな。」
へへっ、と藤丸は照れ笑いをして白雪と顔を見合わせた。
「みんな、藤、好き。」
「うん。何か、慣れてなくってさ。」
照れている顔を見せたくなくて、両腕に顔を埋める藤丸に、白雪はよしよし、と頭を撫でる。
「よし、帰って赤銅の兄貴の肉じゃが食うか?」
「うん!」
と白雪が答える。
珠も食べるよなー、運ぶの手伝ってくれーと声を掛け、
藤丸元八王子区長の長い記念日は終わったのでした。